ONとOFFがほどよく共存する、上質な住まい – 横浜・片倉マンションリノベの記録

こんにちは。VOULOIR DESIGN(ブルワールデザイン) アシスタントのくるみです。

現代の暮らしでは、自宅で仕事をする機会が増え、「ONとOFFの切り替え」が大きな課題になっています。実際、とある調査では87%の人が「オン・オフの切り替えは仕事の生産性に影響する」と考え、91%が「生活の満足度にも影響する」と回答したという結果が出ています。自宅に明確なオン・オフ空間を設け、気持ちを上手に切り替えることは、仕事にも家庭にも良い効果をもたらす鍵と言えるでしょう。個人的にも、オンとオフを空間で区分することは集中力を高め、それぞれの時間をより充実させることができると思っています。

今回は、横浜市神奈川区片倉にあるマンションの全面リノベーション事例を通じて、「ONとOFFの切り替え」というよりも、「ONとOFFが共存する空間づくり」の工夫について、少しだけお話ししてみたいと思います。


静と動のバランスをもつ暮らし

横浜市神奈川区片倉に位置する築12年のマンション。都内でお仕事をされているご夫婦が、お子様の進学を機に「もっと今の暮らしに合った住まいへ」とリノベーションを決意されました。お仕事柄、家具や空間づくりへの関心も高く、上質な素材やインテリアを取り入れた住まいづくりをじっくり楽しんでおられました。

ご要望のひとつが、「在宅ワークにも使えるけれど、リラックスできる空間もほしい」というもの。つまり、ONとOFFの時間がきちんと両立できる住まい。

そこで私たちは、“どちらか”ではなく“どちらも”が自然に存在する空間——そんな共存のデザインを目指しました。

リノベーション前のご自宅

光と素材でメリハリを。リビングに宿るONの高揚感

家族が集まるリビングには、空間を引き締めるアクセントとしてTV背面にエコカラットを使用し、上下に間接照明を仕込みました。タイルの凹凸に光がやわらかく落ち、時間によって表情を変えてくれるこの組み合わせは、リビング全体に豊かな立体感と静かな動きを与えてくれます。日中は自然光をたっぷりと取り込み、夜には間接照明だけでほの暗く過ごす——そんな切り替えも、リビングでの“ONの高揚”と“OFFのくつろぎ”を両立させる鍵に。

間接照明だけの雰囲気も素敵

・壁面タイルエコカラットプラス ECP-930/MAJ2(LIXIL)
・ペンダントライトPm-11(TOWARDS)


深呼吸したくなる静けさ。寝室のOFFデザイン

主寝室には、造作のベッドヘッドと木製のリブ壁を取り入れました。ホテルライクな非日常感を持ちつつ、木のぬくもりがやさしく包んでくれるOFF空間。

リブの陰影に間接光がほんのりと浮かび上がると、それだけで空気がふわっとやわらぐような感覚になります。照明を落とし、ベッドにもたれて深く息をつくだけで、心も体もすっと整っていく——そんな静けさをデザインしました。


・リブパネルリブ天井S ダーク(片桐銘木)
・ベッドヘッドボード(ファブリック)UP5741(サンゲツ)
・ベッドヘッドボード(土台):TJ-18337K(アイカ)
・ブラケットライトWL-45(TOWARDS)

ベッド足下側の壁にも間接照明を


“整う”って、気持ちいい。WICのPAX収納

ウォークインクローゼットには、IKEAのPAXシステムをフル活用して、大容量かつ美しく整理された収納を実現。内部には間接照明を仕込み、引き出しや棚がやさしく光に包まれるような設えに。視認性が高まり、機能面だけでなく空間としての魅力も増しています。

どこに何があるか一目でわかる、そんな空間に立つだけで「ちょっと整えようかな」と気分が切り替わる。

ONの時間に必要なスムーズな支度、OFFの時間を楽しむための衣類の整頓——そんな“整える”という行為自体が、ONにもOFFにも心地よく作用してくれるのだと感じました。




ひとり時間にフォーカス。ワークスペースの仕掛け

リビングの一角には、造作のカウンターでワークスペースをつくりました。 デスク上の吊戸棚には書類や機材、またデスク下に配線もすべてすっきりと納められるように工夫を。

この空間に座ると、自然と背筋が伸びて、「さて、やろう」という気持ちに。

ONを引き出すための“スイッチ”のような場所として、暮らしのリズムをしっかり支えてくれる存在です。

そして仕事が終わったら、椅子を引いて、振り返って、リビングへ戻るだけ。そこにはすでに、ゆるやかなOFFの空気が流れている。そんな小さな移動が、心のスイッチになっていくのです。

・デスク面材K-6117KN(AICA)

切り替える、ではなく、共にある

「ONの時間」「OFFの時間」と分けることも、もちろん大切。けれど、どちらかを無理に“演じる”のではなく、自然と共に存在する——そんな空間こそが、日々の暮らしを無理なく支えてくれるのだと思います。

空間のどこかにONがあり、少し横を向けばOFFがある。ふとした瞬間に気持ちが切り替わるような、そんな「共存の空間」こそが、私たちが大切にしているデザインです。


暮らしが変わるとき、空間も変えたくなる

今回のリノベーションでは、暮らし方が変わる節目に合わせて、住まいも大きく生まれ変わりました。家具・素材・照明・収納……そのすべてがONとOFFの“共存”を目指して選ばれています。

ONでも、OFFでも、どちらでも「自分らしくいられる空間」——。 それは、リノベーションという手段で叶う新しい暮らしのかたちかもしれません。

あなたが今、どんな時間を大切にしたいのか。 その想いを、ぜひVOULOIR DESIGNと共有ください。あなたにとってのONとOFFの共存”を、丁寧にデザインしていきます。


照明計画 : 吉澤麻由香

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