都心で叶える、コンパクトでも魅力的な民泊空間づくり

こんにちは。VOULOIR DESIGN(ブルワールデザイン) アシスタントのくるみです。
民泊を運営されている方、お持ちの物件を収益化したいと考えている方にとって、「限られた空間でどう物件の魅力を引き出すか」は常につきまとう課題です。
近年、都心部では土地や賃料の高騰が続いており、広い物件を確保することが難しくなってきています。特に東京のような都市部では、ワンルームや1ベッドルームといったコンパクトな物件が今後ますます増えていくと予想されます。だからこそ、限られた面積の中でも快適性やデザイン性をどう高めるかが、物件の価値を左右する重要なポイントとなります。
今回は、VOULOIR DESIGNが実際に手がけた、東京都中央区・銀座エリアの34.5㎡民泊物件をご紹介します。
八丁堀駅から徒歩5分、新富町駅から徒歩7分という好立地を備えながらも、室内はワンベッドルームのコンパクトな構成。この事例では、空間を最大限活用するために造作家具を含めたインテリアデザインを行い、結果的に連日のように予約が入る人気物件へと成長しました。
「面積が限られているから」と諦める前に、どのような工夫で空間の質を上げられるのか。
専門家の視点からそのノウハウを解説します。
銀座エリア・34.5㎡の民泊物件という条件
今回ご依頼いただいたお客様は、海外からの旅行者を主なターゲットとしたアパートメントを企画されていました。
この物件のコンセプトは、「自宅のようにくつろげる空間を提供すること」。一時的な滞在であっても、まるで自分の家に帰ってきたかのような安心感と落ち着きを感じてもらえることを目指しています。
ホテルでの滞在とは異なり、この空間では“暮らす”ように過ごすことができます。ラウンジチェアに腰かけて本を読み、カウンターで軽く朝食をとり、ベッドで静かにくつろぐ。そんな時間が、この空間では自然に過ごせます。
新しく訪れる国での負担を少しでも軽減し、安心して滞在できる“居場所”を提供したい。そんな想いを形にしたのが、このプロジェクトです。
ただし、34.5㎡という広さは、ホテルの一室に比べると余裕があるものの、「自宅のようにくつろげる空間」としての設計には工夫が必要です。特に、居室と寝室が分かれている構成は、動線や家具の配置によってはかえって狭く感じさせてしまうこともあります。
デザインの要:用途を集約する造作家具
- ベッドヘッド:寝る場所を“居場所”へ
この物件で特に空間の印象を高める役割を果たしたのが、壁面造作のベッドヘッドです。デスクライトを仕込むことで、「寝る場所」だけではなく、夜の読書やひと息つくための“居場所”へと機能を拡張。サイドテーブルを設け、スマートフォンや小物を置ける構成にしました。

部屋の幅ぴったりにしたデザインは、床面積を変えずに利便性と印象を底上げすることができます。
- テレビボード+カウンター:1台3役の多用途設計
もうひとつの造作家具は、テレビ台・カウンター・収納の機能をまとめた一体型ユニット。
テレビを観るためだけでなく、ちょっとしたPC作業やお化粧など朝の準備もこの場所で完結します。
過ごしやすさのため奥行きを抑えつつ、天板にはノートPCや小物を置けるだけの幅をしっかり確保し、実用性を担保しています。下にはスツールを差し込めるスペースを確保することで、必要に応じてワークスペースとしても使える設計に。また、配線やコンセント類は造作家具の内部に通すことで、見た目をすっきりと保ちつつ、掃除のしやすさや安全性にも配慮しました。

無駄を省きながら必要な機能をきちんと保つことが、限られた空間における家具デザインの鍵です。
家具選びと色使いで空間の印象を整える
既製家具についても、圧迫感を抑えるためにサイズ・色味を厳選しました。
ラウンジチェアや丸テーブルには、脚が細く軽やかなデザインのものを選び、圧迫感を軽減しました。家具の木の色味は建具のトーンに合わせることで、空間全体に一体感と温かみを持たせています。さらに、白・グレージュ・ウッドを基調としつつ、アートなどで程よいコントラストを加えることで、単調にならず奥行きのある空間に仕上げました。
コンパクトな空間では、家具1点の“存在感”が空間全体の印象を左右します。主張しすぎないが、チープに見せない。そうしたバランスが問われる部分です。

写真映えする空間が、選ばれる理由
この物件は、家具の納品が完了した状態で民泊としての運用をスタートしました。開業当初から内装の質にこだわったことで、プラットフォーム上の写真でも注目を集めやすく、多くの宿泊希望者の目にとまる物件となりました。
滞在したゲストからも「心地よい」「清潔感があって落ち着く」といった好意的なレビューが寄せられ、開始直後から予約が安定。立地の良さに加え、空間そのものの質が満足度向上につながっています。
民泊づくりにおいて大切なこと
民泊のように「限られた時間・限られた面積」の中での体験が重要になる空間では、機能と印象のバランスが求められます。
造作家具によって、寝る・食べる・作業するといった基本的な行動が、ただの機能にとどまらず“心地よく過ごす”体験に変わりました。ベッドヘッドやカウンターは、空間を圧迫することなく自然な居場所を生み出し、限られた面積の中でも快適さを保っています。
また、家具の配置やサイズの工夫によって、空間に視覚的な余白も生まれ、狭さを感じさせない仕上がりになっています。
小さな空間でも、丁寧に設計されたインテリアがあることで、空間の魅力と価値は大きく高まります。
最後に
VOULOIR DESIGNでは、用途・立地・規模に応じた空間設計とインテリア提案を行っています。「限られた空間をより良く使いたい」「写真に映える空間にしたい」など、お悩みがあればぜひお気軽にご連絡ください。ご相談お待ちいたしております。