洗練された空間とは|ニーディック&モルテーニSR見学

こんにちは。VOULOIR DESIGN(ブルワールデザイン) アシスタントのくるみです。
先日、インテリアの素材や家具の世界観を学ぶために、「NEED’K textile」と「PALAZZO MOLTENI TOKYO」のショールームを見学してきました。
どちらも方向性はまったく異なるのですが、それぞれのこだわりや表現力が強烈に印象に残ったので、ここではその体験をまとめてみたいと思います。
生地と素材に込められた圧倒的な探究心
まず訪れたのは、テキスタイルの専門商社であるニーディック。ショールームに足を踏み入れた瞬間から「生地」そのものに対する愛情やこだわりが伝わってきます。
SRを見学しながら、革のラグ(カウハイド)に関する説明をしてもらいました。天然素材ゆえの美しさを持ちながら、扱いには細心の注意が必要。ロボット掃除機は毛が抜けてしまうのでNG、床暖房の熱も避ける必要があり、掃除も強くかけるのではなく軽く。一般的に「ラグは掃除機でガンガンかけられるもの」と思いがちですが、素材の持つ個性に合わせたケアが大切だということを改めて感じます。

カウハイドラグ 「NEED’K textile」HPより
ニーディックは様々な工場で生地を製作しています。その特性が活かされた代表的な生地が、プリーツ加工の「トランスダプリーツ」なんとイッセイミヤケの服と同じ工場でつくられているそうで、ファッションとインテリアがつながる瞬間にとてもわくわくしました。実際に見たプリーツはパリコレに登場しそうな存在感で、「これがカーテンになるの?」と思わせるほど美しく、テキスタイルの可能性を強く感じました。
さらに「ワシボンディング」というウールと和紙を圧着させた素材も印象的でした。和紙の軽やかさとウールの温かみが融合し、独特の風合いを生み出しています。モダンな住宅が増える中で、こうした“日本らしい素材”を取り入れると、空間に深みが出てとても素敵だと感じました。

「トランスダプリーツ」のカーテン

「ワシボンディング」で作ったスリッパ

わくわく中のあおいさん
またニーディックではクッションカバーや生地を使ったアートなどの販売もあり、個人邸だけでなくショールームや商業空間のお仕事にも活かせそうな小物がたくさん揃っていました。
空間全体で感じる世界観

「PALAZZO MOLTENI TOKYO」HPより
次に訪れたのは青山にあるモルテーニの旗艦ショールーム「PALAZZO MOLTENI TOKYO」。ベルギー人建築家ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンが手掛けた日本初の建築で、地下1階から地上3階まで、計4フロアにわたる大きなスケール感に圧倒されました。最上階には“ヴァン・ドゥイセンの家”を再現した特別なフロアがあり、まるで彼の暮らしそのものを体験できるような仕掛けになっています。
扉を開けた瞬間、空気が変わったように感じました。家具をただ並べるのではなく、空間そのものを舞台装置のように組み立て、ブランドの世界観を丸ごと体感できるようになっているのです。
モルテーニの家具は、一見シンプルなのに存在感が圧倒的。直線的なフォルムに素材感や色の合わせ方が加わり、「上質」という言葉が自然と浮かんできます。




やはり印象的だったのは、最上階“ヴァン・ドゥイセンの家”の空間の演出。壁面収納やキッチン、ワークスペースにまで巧みに仕込まれた間接照明が、素材の陰影を際立たせて奥行きを生み出していました。照明の配置や動線の計算も行き届いていて、「ここで暮らしたら」というイメージがどんどん膨らみます。モノを売るのではなく、ライフスタイルを提案する姿勢が徹底されていました。


暮らしに活かせる洗練の学び
今回の見学で強く感じたのは、ニーディックとモルテーニがまったく異なるアプローチを取りながらも、どちらも「暮らしをより豊かにする」という一点に真剣であったことです。
ニーディックは「素材と技術」を突き詰め、生地の一枚一枚に物語があり、選び方ひとつで空間の表情や住まい方までも変わることを実感させてくれました。
一方、モルテーニは「世界観と空間演出」を重視し、家具単体の美しさを超えてライフスタイル全体を提案しています。間接照明や空間設計によって、日常がより上質に感じられる体験をつくり出していました。
洗練された空間とは、素材の深い探究とトータルな空間演出が交わったところに生まれるのだと思います。これはお客様にとっても、暮らしを見直すヒントになります。そして必ずしもこの2つのブランドの家具やカーテンを取り入れなくても大丈夫。お気に入りの素材や、照明の工夫、空間の整え方次第で“洗練”を暮らしに取り入れることができるのです。家具や生地を選ぶ際には「素材の持つ特性」と「空間全体の調和」の両方を意識することで、毎日の生活がぐっと心地よいものになるのではないでしょうか。ぜひ一緒に、空間づくりを楽しんでいきましょう。